読んだ感想をサクッとお伝えすると、「ライトノベル枠として面白かった」です。
優秀な暗殺者である少女の任務にお供をする武士が道中、剣を鍛えられて成長するという筋。その話に、少女の敵討ちという本当の目的が絡んでいきます。この少女の能力が現実離れしているので、アニメ的に楽しめる作品です。あまり深く感想を言うと、重大なネタバレになり、全く面白くなくなるので、これ以上の感想は控えます。
「ネタバレすると面白くなくなる」ということは、一回読み捨てタイプの話ということです。それもライトノベル枠と感じた一因かと思います。
物語は面白いのですが、この本には、大きな欠陥があります。
それは、価格です。
この本、開いてみると分かるけど、文字が大きく余白がめちゃくちゃ広くて、つまり文字数が少なく、かつソフトカバーです。内容はライトノベル。一般的に、このタイプの小説は、文庫書下ろしで出版されます。
なのに、この本、単行本でなんと2,000円超(2,090円かな?)!!
私の手元にある本で2,000円超の本は、垣根涼介『極楽征夷大将軍』、澤田瞳子『月ぞ流るる』(どちらも2,200円)。近い価格の本で永井紗耶子『きらん風月』が1980円。
本を開いただけで、その差は歴然。読んだらその差はもっとでかい。
なぜ、無名作家のライトノベルが直木賞作家のがっつり書き込まれた力作小説と張り合えると思ったのか、出版社をじっくり問い詰めたい。極楽征夷大将軍、開いてみてよ…
作家は悪くないんです。普通に面白い小説を書いてるんです。ただ、価格と内容が見合わないだけなんです。本を買う側の人間の評価には、価格も含まれます。2,000円以上出して一回読み捨てのライトノベルだったら、どうしても、感情的に小説の評価は下がります。出版社は新人作家を潰すのはやめてください。
私は文庫本があまり好きではないので、ラノベテイストの本でも単行本で出してもらえるのは嬉しい。でもさ、この文字数と内容なら、1400円くらいが妥当でしょ?ハードカバーで装丁に凝った場合で1500円がギリでしょうよ。
文庫本を待つか、古本を購入する、もしくは図書館本を読むことをおすすめします。私も書店で見て「文字少なっ、値段高っ!」と思ったのでメルカリで購入しました。この選択は正解でした。メルカリで買って、一読したらメルカリで出品といった感じで、おそらく中古市場で読み回しされるタイプの作品かなと思います。